6月14日から開会している名古屋市議会6月議会で、名古屋城天守閣木造復元関連議案を河村市長は、26日撤回表明しました。
私は、6月19日本会議で質問しました。
【江上議員】市長に質問します。2022年末完成に間に合わせようと木材の調達を急ぐから、保管庫が必要になります。しかし、復元の許可どころか、解体の許可さえ出ていない。復元の見通しがない中での木材の調達は中止すべきです。そうすれば、保管庫は必要ありません。今回の木材保管庫設置工事の議案を撤回することを求めます。
【市長】木材の調達は、昨年の6月市会で議決され(日本共産党は反対)やらなければならないことなので、調達をやめることは出来ません。調達した木材の保管及び加工のための木材保管庫も技術提案書に明記がある。
こうして河村市長は、議案の撤回を認めませんでした。21日、文化庁の文化審議会が開催され、名古屋市申請の現天守解体が、議論されず、解体許可が出ないことが明らかとなりました。それでも河村市長は、2022年木造復元を「あきらめていない」としました。
24日、26日と議案審議のため経済水道委員会が開催されました。私は、2022年完成がいかに無理なのか、特別史跡名古屋城跡の文化財としての本質的価値が石垣にあり、石垣の専門家である名古屋市の石垣部会のみなさんの意見から証明しようと質問しました。
第1に、天守閣石垣全体が危険と指摘されています。天守北側は膨らんでいます。東側は、戦災で焼けて赤みを帯び割れ目もあります。その他の危険も石垣部会は指摘しています。その石垣部会が求める調査、保全修復方針を決め、具体的な修復にどれほどの時間がかかるか。本年度だけでも、発掘調査、地下穴倉等調査、解体に伴う仮設設置範囲の試掘調査があります。
第2に、復元工事において、天守の重みが石垣に負荷を与えないようにするための基礎構造である「はねだし架構」と石垣の関係について、石垣部会は異議を持っています。その調整にも時間がかかります。
第3に、調査、方針、修復全般を文化財保護の立場から見る学芸員、調査体制、その力量が問われています。
以上から、2022年12月31日どころかどれだけ時間がかかるのかわかりません。これだけのことを行うのにどのくらい時間がかかるとみているのか、と質問しました。
しかし、名古屋市の答弁は、名古屋市の判断での方法だけ答え、石垣部会の意見による必要時間にはどうしても答えませんでした。答えることができない、ということでしょう。
そして、他の議員の質問後、名古屋市側から、2022年完成がむつかしく、許可のめども立っていない段階であり、議案の取り下げを検討する、と答弁。その後、河村市長から「一旦、延期させていただく趣旨で、議案を取り下げさせていただきたい」と申し出がありました。
名古屋市は、きっぱり2022年天守木造化を撤回し、時期を延期して木造化を進めるのか。私たちが求める現天守耐震化・博物館機能の充実で見直すのか、いったん事業を中止し、市民の声を聞くことです。505億円の建設費です。市民生活に大きな影響をもたらします。天守台石垣の保全をしっかり行うことが今一番求められていることです。そして、現天守解体を許さない立場で、全力を尽くします。