昨日2023年6月24日付中日新聞社会面で、「名古屋城討論会差別発言受けた男性」の見出しに加え、「木造復元計画案提出遅れは必至」の見出し。その最後に、「河村たかし市長は5日の定例会見で発言を制止できなかったことに「事前に『(参加者が)不快な思いをされないようにお願いします』と言えば良かった。申し訳ない」と謝罪した。」とあり、これでこの記事は終わっています。記事を読んだ人は、河村市長が差別発言に謝罪したかのような印象を受けるのではないでしょうか。
しかし、記事の前日6月23日、日本共産党田口一登議員の本会議質問に対する河村市長の回答からは、謝罪したとは感じられません。市民討論会で、差別発言、差別用語が出ても、河村市長も松雄副市長はじめ市の幹部のだれも差別発言を制止しないだけでなく、河村市長が閉会のあいさつで、「熱いトークもあって、なかなか良かった」と発言しています。田口氏は、「(この)発言は名古屋市として障がい者への差別発言を無視し、容認したことになるのではないですか」と質問しました。
河村市長の回答は、「『なかなか良かった』という発言は、差別発言以外の参加者からの意見に対し、感謝の意を込めて発言したものであり、差別発言を容認するものでは全くありません」というものです。勝手に発言内容を自分の都合のいいように変えているのではありませんか。さらに、市長の回答を是としても、差別発言以外の参加者の中には、「(差別)発言の後、会場の一部から拍手もわいた」のです。この拍手した人たちに感謝の意を表したことになるのではありませんか。
3月24日の特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で、バリアフリーの昇降機について、市は「今後、市民意見をお聞きした上で、どうしていくのかというところについては決めていくということです」。松雄副市長は、「基本計画の大要についてご了解をいただき、一応の取りまとめができましたこと、本当にありがたく、市を代表して厚くお礼申し上げます」とあいさつしています。(議事録)
名古屋市は、6月3日市民討論会で市民の意見を聞き、6月5日バリアフリー有識者会議、6月12日全体整備検討会議、そして、6月15日市議会経済水道委員会を開催し、市内部の確認のうえ、文化庁に木造復元の資料提出というスケジュールを組んでいたのではないか。その6月3日をとにかく終えたいというのが差別発言を制止しなかった理由ではないだろうか。私にはこのように見えてしょうがありません。
だれもが利用できる名古屋市施設が求められているとき、今回の事件は大きな教訓であり、木造復元は中止することがどうしても必要ではないでしょうか。そのために、まず、河村市長、名古屋市の幹部が真摯に第3者委員会で事態を検証すべきです。それまでは少なくとも、安易に「河村市長が謝罪した」かのような表現はやめるべきです。